続・朝ドライフ

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2024年05月06日

「虎に翼」優三(仲野太賀)、試験に落ち過ぎ<第26回>

「虎に翼」優三(仲野太賀)、試験に落ち過ぎ<第26回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第26回を紐解いていく。

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「虎に翼」第26回レビュー

これまで「虎に翼」のことわざサブタイトルは、すべて女性蔑視を感じるものばかりでした。第6週のサブタイトルは「女の一念、岩をも通す?」(演出:安藤大佑)もまた、女性は執念深いと揶揄するようなものではあります。が、これに限っては、執念深いことは悪くはない印象です。

穂高(小林薫)の使った「雨だれ石を穿つ」は悪い意味ではありません。雨だれを女の執念に変えれば決して悪い意味ではない。早急な予想ではありますが、もしかして、寅子たちの奮闘によってサブタイトルもこれからちょっとずつ変わっていくのかもしれません。そうだといいなという願望です。

昭和12年、寅子(伊藤沙莉)は高等試験に挑戦。けれど、筆記試験で落ちてしまいました。

優三(仲野太賀)もまた落ちます。何度目??? 彼は緊張状態になるとお腹を下してしまうそうなのでそれを直さない限り、望みはないのでは……。

寅子も1回ではあきらめず、再度受験する気満々ですが、はる(石田ゆり子)は反対します。今年で24歳、「地獄から引き返すならいま」「男と女では状況がまったく違うんです」とはるは眉を八の字にします。

いろいろあって考えが変わったのかと思わせて、はるの心配性はあまり変わってはいないようで……。ただ、まずは反対するけれど、結局許してしまう人なのですが。

筆記試験で合格したのは、花岡(岩田剛典)稲垣(松川尚瑠輝)の2名のみ。
稲垣はこれまで影が薄かった(すみません)けれど、ここで華やかな成果を出しました。
女性では寅子たちの先輩・久保田(小林涼子)が口述試験に進めました。

結果、花岡と稲垣が合格。久保田は落ちてしまいます。

私の力不足だったと久保田が土下座していたとき、女子部新入生の募集中止が新聞に載っていました。

法改正によって女性も弁護士になれるようになったものの、女性の入学希望が年々減るばかりなうえ、司法試験に受かる女性もいないため大学の面目が立たないと考えての大学側の決断のようです。結局、女性の勉強や社会進出を心から応援するわけではなく表層的なものなので、結果が出ないとすぐに諦めてしまうのです。

すると、香淑(ハ・ヨンス)が猛然と学長(久保酎吉)たちに抗議に向かいます。これまで控えめに見えた彼女がなぜ急に強く出たのか。兄・潤哲(ユン・ソンモ)が警察?につれていかれてしまったこととも関係あるのでしょうか。

この年、日中戦争がはじまって、泣き虫の中山(安藤輪子)の夫には召集令状が来ていました。中山はかつて、勉強のし過ぎで婚約破棄されそうになって大泣きしていましたが、夫はそのときの人なのでしょうか。
最初は、なんでもかんでもちょっと泣き過ぎな気もした中山ですが、泣き虫キャラと思うと成立します。

男装のよね(土居志央梨)、令嬢の涼子(桜井ユキ)、おにぎりたくさん握る梅子(平岩紙)、メガネっ子香淑、バンカラ轟(戸塚純貴)、優男花岡等々、絵に描きやすそうな人たちが揃っています。
リアリティをぎりぎり保ちつつ、親しみやすく記号化するバランスの取り方が
巧み。
試験を受けなかった人たちにつけたテロップのデザインも工夫がしてありました。

もうひとつ新鮮だったのは、香淑と兄の韓国語での会話。朝ドラでは英語はよく出てきて、欧米文化が日本に入ってきている描写はよくありましたが、アジア文化との関わりが描かれることは近年になって増えた気がします。「ブギウギ」でもヒロインの家に中国テイストの家具を置いていましたし、猪爪家の家具もお父さんの転勤の名残らしく一部アジアンテイストになっています。いかにも昭和の日本家屋のイメージから少しずつ離れていっているようで表現の新しさを感じます。

潤哲が出てきたとき「ご無沙汰しています」とわざわざ、すでに寅子たちと面識があるように描いているのも丁寧です。

(文:木俣冬)

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